げんき便り 2015年1月2月号「65歳の手習い エコー検査」

2015年がいよいよスタートしました。みなさまにとって、そして日本にとってよい年になりますよう心から願っております。

さて今年は40の手習いならぬ65の手習いを始めました。

外来診察室にエコー検査の器械を置くことにしたのです。30数年前に少しいじって以来本格的に勉強をしてみました。写真入りの解説本を手に入れ頭の中で画像のシミュレーションを浮かべる毎日でした。

時に自分のお腹にプロープを当ててみたり、胆石や黄疸があるという患者さんのお腹をお借りしたりして少しずつ昔の感覚を思い出したりしていました。

そしてついに熟練した技師さんにわざわざクリニックまで出張していただき、朝10時から夕方の5時までマンツーマンでとことん指導してもらいました。もうバッチリです。これから外来診療で、様々な病気のスクリーニングに生かしていきたいと思っております。

思い返すと35年前大学の研修医の頃、川崎病の子どもの心臓のエコー検査をしてもらうためにわざわざ紹介状を書き、タクシーで同伴して半日つぶして東大分院まで行った事を思い出します。(当時大学の医局にエコーの器械がなかった事に気が付き、驚きです)

その後3年ほどして地方の総合病院に赴任したところ、その病院の検査室でエコーの器械を毎日自由に使わせて貰える幸運に恵まれました。

しかも検査技師さんに心臓の大動脈の起始部分の左右の冠状動脈の出し方を簡単に教えて貰え、その日から川崎病の子の冠状動脈の拡張や動脈瘤の検出に大いに役立ちました。

たまたまその年は川崎病が全国的に大爆発した年で、赴任した3月末から5月までにその病院だけで50人以上の子どもが入院し、残念ながら1名の子どもさんが冠状動脈瘤の破裂で亡くなりました。その子の冠状動脈の瘤の様はまるでミッキーマウスの顔と耳を形取ったようでした。しかしそのような検査が毎日ベッドサイドで行えて、何で大学では出来なくて地方の総合病院では簡単に出来てしまうのかそのアンバランスがとても不思議でした。

しかもエコーが使えない自分にとってエコーを操れるドクターは「すごいな」と思っていましたが、自分がやれてみると案外「たいした事ないな」と感じてしまいました。
(何事も極めるとなればとても奥が深くそんな生意気な事を言ってはいけないのですが…)

ともかくげんきクリニックのような小さな診療所でも、気軽に診察室で数分足らずでエコー検査ができるのはとても便利で良いことだと思っています。今後ご期待ください。

院長