NO.127

平成15年3月1日発行

この冬はインフルエンザ絡みで例年にも増して振り回されました。

皆さんもテレビ等のマスコミ報道でさぞや不安をあおられ、振り回されたのではありませんか?

まずワクチン接種ですが、一時期は「学童に集団接種するのは意味がないばかりか、副反応を引き起こして有害」とさえ言われていたマスコミの論調が、いつの間にか「ワクチンを打って子供たちを怖い急性脳症から守ろう」に変わってきました。

そのため11月〜12月の外来はまさに予防注射ざんまいの日々に追われ、右腕の腱鞘炎に悩まされました。(でもワクチン接種はとても大事です。)

次の異変は、B型インフルエンザの猛威です。
いつもの年ならば、A型のインフルエンザが1月に入ってから流行し始めるのですが、今年は12月上旬から圧倒的にB型インフルエンザ優位で流行し始めました。

そのせいで、昨年より発売され、かなりの効果が期待されていたA,B共用の特効薬「タミフル」があっという間に全国的に欠品状態になってしまいました。(A型専用の特効薬「シンメトレル」は大丈夫でしたが。)

かなり卸問屋さんや薬剤師会の方々に努力してもらいながら、細々と乳幼児や6〜7才くらいまでの急性脳症を起こしうる年代の患者さんを優先して処方を続けていましたが、全く薬のない日もあり、キリキリと胃が痛む日々の連続でした。

おまけに今年こそは十分供給されると言われていた、A,B型インフルエンザ判定用検査キットまでもが手に入らなくなる日も出現し、親たちのいらだち、怒りがもろにわたしども医療機関にぶつけられることもあり、やりきれない複雑な心境でした。

来年こそは今年の教訓を生かして、検査薬も治療薬もワクチンもきちんと足りるような体制がとられるよう祈っております。

またマスコミはただ国民の不安をあおってパニックを作るのではなく、関係機関、関係者が的確かつ迅速に解決策の手の打つよう促すような取り組み、番組作りをしてほしいと感じる次第です。