NO.130

平成15年6月1日発行

SARS(サーズ:重症急性呼吸器症候群)の勢いはいまだに衰えることなく全世界を恐怖に陥れていますね。

1981年に突如アフリカの奥地から出現したAIDS(エイズ:後天性免疫不全症候群)を思い起こさせますが、SARSがエイズより恐ろしいのは感染者に近づいたりその人に触れたものに触るだけでも簡単に伝染するかもしれないという点です。

先日、あろうことか台湾のSARS治療に携わる医師が無神経にも日本国内を発熱を押して旅行して回り、帰国後SARSと認定され、一時関西方面はパニック状態になりました。

幸い二次感染者は出る事なく平静を取り戻し、結果的にはSARS対策の予行演習的なものとなって役立ったことになります。

SARSの病原体は新種のコロナウイルスといわれており、いくつかの野生動物から検出され、人間による自然破壊の結果、山や森の奥で人間とは無縁の生活をしている動物たちに宿る病原体が人間に対して牙をむいたという説が主流ですが、それはそれで私達に大切な教訓を与えてくれます。

もう一つの説は、もし人為的に新しい病原体を変異させて人間に感染・流行させるような生物兵器を使用できる超大国があるとします。

その超大国が政治・経済的理由で今や世界的不況の中で唯一奇跡的大発展を遂げている中国を標的にして経済活動に大打撃を与えようとしてやったのではという疑問がどうも拭えません。

ある事件・事象を考えるとき、そのことによって一体誰にとって都合がよく誰が利益を得るかといった「利害関係」を考えることは原因を究明するにあたりとても大切だと思います。

今回の中国を発信地とするSARS感染騒動もそのように考えると、偶然にしては余りにもタイミングが良すぎる気がしてなりません。

個々の人間関係に於いてもよく「相性がよい」「悪い」と言いますが、悪い場合にはよくよく深く分析してみるとお互い相容れない「利害関係」が対立しているものです。

それが分かってしまえばクヨクヨ悩むよりは、その利害の対立を解消できるよう状況を改善する努力をするなり、原因が分かったので割り切って受け止めようとするかに分かれることでしょう。

親子関係、夫婦関係、友人関係、職場関係に悩む人は一度「相性が悪い」としてではなく、「利害の対立」として捉えて世の中全てを眺めてみてはどうでしょう。

ところでエイズの日本での感染者は今年中に予想で1万5千人、発病患者は3千3百人になるそうです。SARSはこれからどうなっていくのでしょうかね?ワクチンと治療薬の開発が待たれます。