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NO.140 共感できる心のプレゼント

平成16年5月1日発行

最近身近で悲しい出来事がたて続けに起こり、気持ちの踏ん張りがきかなくなり、何かにつけて涙もろくなってしまいました。

こういうのを医学用語では「情動失禁」というのでしょうが、そういう言葉で自分の状態を言い表されるのって、余りいい気分ではありませんね。

物心ついたころから親に「男たるもの、むやみやたらと人前で泣いて涙を見せるものではありません」と言われてきたので、今までに覚えている涙はほんの少し、それも誰も見ていない時ばかりでした。

ところで私は元来は小児科医ですが、精神医療にも学生時代から少し首を突っ込んでいたこともあり、いつの間にやら精神科デイケアや心療内科も手がけるようになっていました。

毎日1人か2人の心に傷を負ったり、自分ではどうにも背負いきれない悩み・苦しみを持った患者さんがみえます。

そんな時、日々の診療に慣れてくるとすぐに、「ああそれはうつ病、抑うつ病状態ですね」「精神神経症ですね」「パニック障害ですね」と病名で対応しがちでした。

しかし自分がかつてなかったような深い悲しみや、どう癒しようもない喪失感に襲われてみると、違う世界が見えてきた気がします。

患者さんたちが様々に訴える事柄の、悲しみや苦しみや孤独感、寂しさといったことが、まるで我が事のように感じられるのです。

これを精神医学的には「共感する、共感的姿勢をとる」というのですが、それはテクニックとしてではなく、同じ時を共に生きている人間同士として、共感する気持ちが自然に沸き上がってくるようになったから不思議です。

今自分にある言いようのない寂しさ・深い悲しみは当分消えそうもないし、涙もそう簡単には涸れそうにはありませんが、その分患者さんと自然に共感できる心のプレゼントをもらったのだと感謝することにします。

ところで最近、親しくしている埼玉医大の小児科の教授にお会いして、非常勤医局員にしてもらい小児の救急部に週に一回入り、ついでに大人の救急救命にも立ち会わせて診察もさせてもらえることになりました。

人の肉体的生命も精神的・社会的生命も助けられる医者になりたいと心から思うようになったからです。

当分年老いてなんかいられないようです。

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