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NO.145 『死ぬ瞬間』とホスピス

平成16年10月1日発行

精神科医のエリザベス・キュープラーロス博士がこの夏、78歳で米国の自宅で亡くなりました。

彼女は当時タブー視されていた死の研究で大きな貢献を果たした人で、1969年「死ぬ瞬間」(原題「死と死にゆくこと」)を出版しました。これはシカゴ大学病院に入院中の死を控えた患者200人以上に直接会い、心理状態を調べたものです。

日本でも1971年に出版され、ベストセラーになりました。私も当時読んで、医師になる決意をより一層強くしたのを思い出します。

英国でシシリー・ソンダース医師が世界初のホスピスを建てた年からわずか2年後に出版されており、まだ「死」を科学的に扱うことは許されない風潮があった時代です。

博士は死を受け入れる段階を次のようにまとめました。

まず告知直後の第1段階では、これを否定しようとし、他の医師の立会いを求めます。
第2段階では、なぜこんな病気がふりかかったのかと、怒ります。
第3段階では、「取引」が始まります。例えば息子の結婚式までは生きたい、と願うようなことです。

その次の第4段階では気持ちが滅入ってうつ状態になりますが、最後の第5段階では、痛みなどの症状さえ取り去られれば、あきらめ、静かに死を待つ心境になるのです。

しかし、このような静かな段階に至らず、悶々としたまま意識を失う人もいます。

彼女はまた本の冒頭に、インドの詩人タゴールの詩を引用していますが、詩を実に静かに受容した彼の死生観にひかれていたようです。

彼女は「ホスピスは建物ではない、患者と共にいてあげることだ」「患者と最後まで快く一緒にいられる近親の一人と、彼女の痛みを取り除き心の平和を祈念する医師、看護師、ソーシャルワーカーもしくは宗教者が、この最後の時間では非常な助けになる」とも述べています。

この本の影響なのか、私もゆくゆくはホスピス病棟をやってみたいという「夢」を持っています。

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