NO.169 2006年を振り返って 12月・1月合併号

今年もあっという間に1年が過ぎ去ろうとしています。
世の中でいろんな事があった1年間でしたが、げんきクリニックも無事平穏に過ごせた事を感謝したいと思います。
当院も開院して丸15年が経ち、その当時生まれた赤ちゃんももうすぐ高校生になろうとしています。
医者冥利に尽きるというか、その成長を見守れてとても嬉しく思います。
ところで医療の分野では全国的に産科医、小児科医の減少、そして救急医療・夜間診療の崩壊、医療訴訟の増加など問題山積みですが、この傾向は来年以降もより深刻になっていきそうです。
新しい臨床研修医制度に対する見直しや僻地診療の義務化、医学部定員の増加など、国会で早急に真剣に討議してほしいものです。
今のままでは国民も困るばかりでなく、使命感を持って一生懸命頑張っている医者たちも意欲をなくしてしまい、勤務態勢の厳しい医療現場から逃げ出してしまうと思います。
教育の分野ではいじめの蔓延・深刻化と安易に自殺に走る生命軽視の傾向に憂慮しています。
担任の教師・校長先生・教育委員会の責任を追及したり、生徒間のストレス発散やだれもかばおうとしない事なかれ主義などいろいろマスコミも原因・犯人探しをしていますが、本当のところ私には分かりません。
ただ自分にひきつけて思うに、時代の風潮とでもいうのでしょうか。
今の日本は経済的にはとても恵まれていて、衣食住には困らないし何でも自由です。その代わり自分の人生をこれに賭けたい・これを人生の精神的幸せとして貫いていくというものを自分で見つけ維持し続けるしんどさを背負わなければなりません。
それが見いだせない人間にとってはこの世は仮の世界のようなもので、別に必死に生き続ける意味をそれほど感じないのかなと想像してしまいます。
「自由に自分の考えで決めて生きろ」というのは案外きついことでないかなと思うのです。それでもそのしんどさに負けずに若い人たちにはしぶとく生きてほしいと思います。
2007年は皆様にとって少しでも明るいいいことがありますように。