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「風邪は万病のもと」いや「万病は風邪症状からはじまる」というパンフレットを以前作ったことがあります。今なら「鼻は万病のもと」とでも言い表したいと思います。

医者に成り立ての頃、喘息の子をみると、胸の音、肺の状態ばかりに関心がいき、鼻水はほんの付け足しの状態と思い、ましてや中耳炎などは耳鼻科医にまかせるものとおもっていました。しかし、年がたつにつれ、次第に鼻の症状の大切さが分かってきました。喘息発作をひっきりなしに起こす大変な子がいて難儀したことがありましたが、その子の鼻アレルギーをひょんな事から積極的に治療したところ、嘘のように、そのしつこい喘息も良くなった事があり、それ以降、鼻アレルギーの治療は喘息治療の近道、いや本道だと確信するようになりました。大発見と思っていたところ、ある医学雑誌に「副鼻膣気管支症候群」という病名の話が載っていて、それが自分の気付いた現象によくあてはまり、しかも100年以上も前に外国で発表されている事が分かりました。それからは鼻症状により一層注意を払うようになりました。

風邪のウイルスも鼻から体内に入る事が多く、将来のインフルエンザの予防接種も、注射ではなく、ワクチン液の点鼻接種に変更されることでしょう。

患者さんをよく観察すると、鼻水がいつも喉に垂れてきて喉の奥にはりついている子がいます。それは後鼻漏といい大抵副鼻膣炎を起こしています。溶連菌感染を繰り返す子もこのような子がほとんどです。また鼻血をよく出す子がいますが、血液の病気である事はごくごくまれで、大抵アレルギー性鼻炎があります。中耳炎を繰り返す子も鼻アレルギーであることがほとんどです。鼻水を止め鼻ずまりをよくしてやると、3日ぐらいで治りますが、いつまでも鼻水がジクジクしていると、中耳炎は治るのに1週間以上かかるものです。テレビの音を大きくして見る事から中等度の難聴である事に気付かれる子も大抵アレルギー性鼻炎があり「滲出性中耳炎」を起こしているものです。(当院ではテインパノメーターという機械で診断しています。)以上の事実に気付いてからは小児科医でありながら、耳鼻科疾患も一所懸命診るようになりました。

アメリカでは外科医的処置以外の小児の耳鼻科疾患は小児科医がみています。日本もそうなると、患者さんも臓器別に病院のはしごをしないですみ便利になるでしょう。そのような訳で当院では耳鼻科疾患の治療もよくやっているのです。もちろん、手に負えない外科的処置が必要な人は耳鼻科を紹介いたします。

なお現在、花粉症が例年より2週間遅れて3月1日頃からはじまりましたが、もちろん花粉症の治療もやっています。是非ご相談下さい。