NO.30

平成5年7月1日発行

今梅雨まっさかりとなり、農家の人たちにとっては恵みの雨といえましょう。田植えを終えた苗が青々としっかり根付き、今年は冷害もなく豊作であってほしいと心から思います。
しかし気管支喘息の子にとっては、梅雨はつらい季節といえましょう。
梅雨と秋の長雨の頃が喘息の好発季節だからです。喘息と一口で言っても症状にはピンからキリまであり、現実にはもう少し軽い状態である「喘息性気管支炎」という人が、世の中では圧倒的に多いものです。

その症状は、熱がないかまたは微熱が続き夜フトンに入って体が温まってくると、のどや胸がムズムズして咳込み出す。時に痰を伴って吐いてしまう程咳込むようになり、夜中に何度も目が醒めてしまう。そして朝起きたばかりの頃にも痰がからまって、やはり咳込んでしまいます。そんな状態が一ヶ月以上続くことが多く、病院でははじめは軽い風邪と言われて、咳止めの薬をもらって飲むのですがなかなか治りません。

そんな人は、喘息を含めて、皮膚や鼻など何らかのアレルギーがみられることが多く、自分はアレルギー体質なのだと思って間違いありません。

もう少し重くなると咳込みだけでなく、のど・胸がふさがるような息苦しさを感じ、吐く息がヒーヒーゼーゼーと音がするようになり、横になって寝ていられなくなり、フトンの上で背中を丸めて座り込んでしまいます。そして呼吸するのがやっとで、朝食も食べられず、しゃべるのもおっくうになります。
そこまでいくと、薬を飲むだけではなかなか喘息の勢いを止められないので、病院で吸入や点滴を受けて下さい。

そして、気管支拡張剤の内服をしばらく続けてもらうことになります。というのは、一度喘息発作が起こると3週間ぐらいは気管支の敏感な状態が続くからです。

例えば、すり傷を考えてみて下さい。すりむくとはじめヒリヒリと痛み、傷口からジクジクと水がにじみ出てきますね。そのうちそれが固まりかさぶたとなり、治りかけてくるとその部分が痒くなってきます。

気管支の内部の壁も、発作の時は赤く充血し腫れて、ヒリヒリ、ジクジクした状態と考えられ、そしてしばらくして、ムズムズ痒くなりながら治っていきます。その間は、しばらく咳が出やすい敏感な状態が続くのです。

だから「のどもとをすぎたら熱さを忘れる」のではなく、しばらくはダメ押しするつもりで、少し長めに内服を続けましょう。そして梅雨があけて夏休みに入る頃になると、たいていの喘息の人は発作から解放されます。楽しい夏休みを迎えて下さい。