NO.31

平成6年8月1日発行

今年は冷夏でない代わり、空梅雨で水不足が心配されてますが、夏が例年より早く来た分、ビール、エアコンが飛ぶように売れて、不況脱出には恵みの暑さかもしれませんね。

しかし、週末にもなると日本全国で、海や川での水難事故が多発しています。交通事故もほぼ毎日30人づつ命を落としている勘定で、今年はすでに死者が5000人を突破したそうです。
手塩にかけて大切に育てた子供達が、そのような犠牲になることはとても残念な事です。それでも日本は、死亡率はとても低い国で、寿命はなんと男女ともに世界一を誇っております。その一方で出生率は減少の一途を辿り、女性が一生の間に産む子供の数は、1.46人と史上最低記録を毎年更新中です。

原因は結婚をしない女性や、高齢結婚、高齢出産、それに世の中のしくみが子供を沢山産んで育てにくい、お金がかかりすぎる環境であることが指摘されています。

最近テレビで、しきりと子沢山の大家族を特集して、子沢山は楽しくて夢があるようなPRをしていますが、そういった雰囲気だけでは、事態は打開されそうには思えません。それでも当クリニックの外来には、3人4人の子供を伴って来院される家族が案外多いのには驚かされます。
どうやら世の中、ゼロまたは一人っ子の家と、大人数の子供を抱える家と、二極分解しているみたいです。

一人っ子を大勢の大人達が取り囲み、ちやほや甘やかすのは当人達の将来にとって決して好ましいことではなく、複数の兄弟姉妹にもまれて、多少荒っぽく、大ざっぱに育てられる方が、自立心に富み、生活力豊かに育ってくれるものと思われます。

ともかく、年々、子供が減っていく社会は、次第に活力がなくなりちょっぴり寂しく感じられます。
かつて、北欧のスウェーデンが、出生率低下に悩み、社会の制度を物心両面から、子育てしやすいように改革して、出生率を上昇させたように、日本も重い腰を上げてほしいものです。

最後に、今年の夏休みは、皆様、大した病気も事故もなく、楽しい思い出を沢山作ってほしいと思います。