NO.35

平成6年12月1日発行

少産少子化が進む中、今や小児科医も急速に減りつつあります。
15年位前私が卒業した頃、各大学の小児科の医局に新人のDrが7〜8人、多いところで14〜15人程入局して活気に満ちていました。しかし今耳にするのは1人2人しか入局希望者が集まらず、このままでは関連病院に医師を派遣できなくなるどころか、医局を維持することもままならなくなってきている大学もあるという話である。都内の有名な愛育病院でも、新生児科と保健指導部のみを残して病気の子をみる一般小児科を廃止し、しかも休日・夜間の診療も行われなくなったと聞きます。

採算性と効率のみで医療が動かされていくと弱者や少数の者が切り捨てられて、次第に暮らしにくい社会になりつつあるのではと危惧されます。そしてなによりも小児医療に夢や展望を持てなくなり、有望な新人Drが小児科分野に集まらなくなると、10年20年先になってあわてることにならないかと心配です。

高齢化社会を迎えるにあたり、高齢者対策が遅ればせながらも実行されつつあり、当院の友の会根岸夫妻もつい先頃、老人ホーム「まきば園」を開設しています。

しかしその一方で核家族化がすすみ、子育てに孤軍奮闘しているであろう最近の若い夫婦達は子供の病気や育児に対する不安をどこでどのように解決しているのでしょうか?

夜間の診療体制については、小児科軽視の時代の流れに逆らって個人的に努力をするのにも限界があるので、医師会・市・大きな病院・大学の医局の協力を念頭において、きちんとしたシステムを作りあげたいと思っています。

また、病院の診察室ではとても聞けないような、些細な育児や病気に関する質問に直接答えていけるよう、「子育てサロン」を更に充実発展させようと考えていますが、その時はどうか協力のほどお願いします。