NO.45

平成7年10月1日発行

つい先頃精神科デイケアのメンバーであったO君が火災による事故で亡くなった。享年わずか25歳であった。

月曜の午前中に当クリニックにかかったことがある人ならば、デイケアルームでコーヒーサービスをしていた彼の姿を覚えてくれていることだろう。
思えば、彼には実に多くの人たちがかかわってくれて、様々な愛情を注いでくれたとつくづく思う。
そして彼にかかわってきて今回残されてしまった者たちの気持ちとしては、彼が一人前に成長していく姿を見届ける事なく逝かれてしまったことが残念でならないが、なによりも彼自身が一番無念に思っていることだろう。天寿を全うするも寿命、病気や事故で亡くなるのも、ある意味では寿命だったと考えて諦めるしかないのだろう。

ある人の説によると、人類は最大120歳までは生きられるようになるそうだが、長くても短くても人の一生には必ず『春夏秋冬』があるとも聞く。はたして自分は何歳まで生きる運命なのか?
今の自分はいつ頃の季節に生きていることになるのだろうか?
自分にとって実りの秋はこれからなのか?

彼の死をきっかけに様々な考えが頭をよぎる。そして今、人生に例えれば春や初夏の頃を生きているであろう子供達が無邪気に運動会の練習に励んでいる。ガンバレ。