NO.51

平成8年4月1日発行

最近大手調剤薬局と病院・診療所の間のリベートをめぐる癒着関係についての記事を見て複雑な気持ちになった。

院外に門前薬局を作らせる代わりに、バックリベートとして処方箋1枚発行につき150〜200円を調剤薬局側から医療機関がもらっていたというもの。

当クリニックでも2年ほど前に行田市薬剤師会にお願いして調剤薬局をすぐ隣に開設してもらい、院外処方に切り替えている。おかげで事務の人達が慣れない薬の調合に四苦八苦することもなくなり、事務作業が簡素化できてよかったと思っている。
それまで受付事務の人達はその忙しさから顔もひきつり言葉もついきつくなりがちで、お叱りの投書をもらうこともしばしばでした。

それまでの優しい言葉をかける心の余裕もない状態から開放され、少しでも待合室や患者さんの状態に気配り・心配りがよくできるようにと願って踏み切ったものでした。

果たしてみなさんはどのように評価してくれているか気になるところです。
採算についてはほとんど何も考えず行ったものですから、その後実際に試算してひと月平均80万近い減収になるとわかったときはびっくりしたものでした。
普通の損得勘定で考えるなら院外処方に踏み切る医療機関は、私のようなうっかり者以外は考えられないでしょう。

結局厚生省の今の政策では薬価差益を圧縮して、院外処方箋料を少しづつ上げて医療機関が院外処方を選択するように誘導したいのでしょうが、現状で院外処方に踏み切るとしたらどうしても減収の穴埋めとしてバックリベートは必要と考えてしまうのは、無理からぬことだと思います。

マスコミもそのへんの事情というか矛盾をしっかり分かったうえで記事にすべきだと感じました。そうでないといたずらに医療不信・医者不信だけをあおる結果しかもたらしません。
ちなみに当クリニックではリベートは一切貰っておらず、ただひたすらやせがまんをしながら、院外処方箋料がいまより少しでも上がってくれるのを待つしか仕方ありません。