NO.94

平成12年3月1日発行

3月は幼稚園や保育園、小学校・中学校の卒業式があったり、職場では転勤・移動の季節です。
げんきクリニックでも2人の退職者がいます。本当にご苦労さまでした。
別れがあれば必ず新しい出会いが訪れ、その繰り返しの中で人は少しづつ成長していけるのでしょうね。
そして4月には入園・入学そして新しい職場が待ち受けていて、それを思うと今から少し緊張することでしょう。

別れと言うのはどちらかといえば余り嬉しいことではなくて、寂しかったり、残念だったり、悲しかったりというマイナスの感情を抱いてしまいがちです。
でも「いい別れ」というものは、その後のお互いの努力や成長を願ったり誓ったりして、再会が楽しみに思え、お互いのその後の頑張りのエネルギー源になるものだと思います。
「いい別れ」をするのは本当に難しい事ですが、是非そうありたいものです。

今までに私は臨床医としての様々な研修をするために、8つもの医療施設を転々としてきて、今この地で開業して9年目を迎えています。
印象深くてとてもなつかしい患者さんとの「いい別れ」の思い出がいっぱいあります。

当時2〜3才で実の子のように可愛がった難病の子や難治性の喘息の子から、大学を卒業し結婚したという嬉しそうな笑顔のはがきをもらったりすると、無上の幸せを感じます。

実際に拒食症だった子が立ち直り、10年以上経って突然訪ねてきてその見違えるほど健康そうな姿に出会えた時の喜びもひとしおでした。

あの当時はこちらが拍子抜けするほどスーっと学校に復帰して行ってしまい、子供が親離れしてしまった時の親の「本当は喜ぶべき事なのに、一抹の寂しさを覚える複雑な気持ち」を疑似体験したことを思い出しました。

「いい別れ」にはいずれまた「いい出会い」がきっと約束されている。
そう信じてこの別れの3月という季節をやり過ごそうと思います。