NO.96

平成12年5月1日発行

5月も連休が終わり学校の授業が本格化してくる頃になると、毎年のように不登校の子供達がぽつりぽつりと外来を訪れるようになります。
かく言う我が家でも最近ハラハラドキドキの出来事がありました。

4月から全寮制の学校に入学した娘が初めての外泊で帰ってきたのはいいのだけれど、顔色がさえずニコリともせず思い詰めた様子。

心配になって問いただしたところ、ほとんどの子達は初めの1〜2日のうちにペアを作ってしまい、内気な我が娘はまるで「椅子取りゲーム」に一人で負けてしまったような状態だとのこと。
休み時間には一人机に顔を埋めて寝た振りでやりすごす毎日。

「それは貴重な体験だね。」とか「孤独に耐えられる心の強さが大人になっていくためには必要なんだよ。」とか「クラブ活動や授業が本格的に始まれば、今のグループも形が変わってすぐに友達ができるさ。」となぐさめながらも、祈るような気持ちで見守っていました。
結局たいして心配する事なく仲の良い友達がすぐにでき、今では元気いっぱいの笑顔で外泊へと我が家へ戻ってきます。

不登校の原因として母性が強すぎて母子密着がよくないとか、父性が弱いからとか諸説ふんぷんあるのだけれど、今回のように大人から見ればたわいのないほんの些細なきっかけからも不登校は起こるかもしれません。

今やどこの家庭でも不登校は起こりうるのではとの思いを強く持ちました。もちろん精神的疾患がその原因である場合もあるので、もし長期化した場合は是非ご相談下さい。

臨床心理士によるカウンセリングも大いに役立つ事と思いますので、是非ご利用下さい。
いずれにしても新学期のスタートを切ったわけですが、どの子も自分の将来に向けての「夢や目標」を大きく抱いて勉学に励んでいってほしいと願ってやみません。