不眠症について

当院は心療内科も診ている関係で、不眠の相談の患者さんが意外に多く来院されます。

不眠といってもいろいろなパターンがありますが、一つ目はなかなか寝ようとしても寝付けない「入眠障害パターン」

二つ目は夜中に目が覚めてしまいその後なかなか「中途覚醒パターン」。
そして三つ目が朝早くから目が覚めてしまい眠れなくなる「早朝覚醒パターン」。

お年寄りには最後の早朝覚醒パターンが多いように思われます。

お年を召すと「赤ちゃんに戻る」と俗に言われますが、赤ちゃんはおむつに始まり、お年寄りもおむつに終わるのと同様に、昼間に目が覚めている時間と寝ている時間のメリハリがなくなり、お年寄りは年をとると一日のうちに何度も睡魔が訪れ、寝たり起きたりを繰り返すようになりがちです。

しかもあたりが明るくなると時刻に関係なく目が覚めてしまうようになります。

手助けに眠剤を使う事がありますがお年寄りの場合、なるべく夜中のトイレに起きても体がふらついたり筋肉の緊張が緩んだりして転んでしまわないような薬剤を使うようにしています。

中途覚醒したり早朝覚醒してしまう若い方達には作用時間の比較的長い薬剤を使います。ただ朝方に薬の作用が残り朝の自動車通勤で居眠り事故が起きないように飲み始めの時間には気をつけてもらっています。

なかなか眠りにつけない方は仕事が複雑であったり、忙しくてストレスがいっぱいの「働き盛りの人」が多いような気がします。

眠剤を飲むことに少し罪悪感を抱き、こんなに続けていいのだろうかと悩まれる方も多いように感じますが、そんな方達には「仕事がひと段落してのんびり過ごせるような年齢になれば自然に薬が必要なくなります。ストレスがよほどいっぱいなのですね。」と言って安心して飲んでいただきます。

ただし一つだけ守ってほしいことがあります。それは決して眠る為の目的でアルコールを毎晩飲まないこと。そして決して眠剤と一緒にアルコールを飲まないことです。

もし眠剤とアルコールを一緒に飲むと寝床に着く前に、30分もしないうちにバタンと意識を失ってしまいとても危険です。

よく犯罪にも使われて「昏睡強盗」などと言われたりします。

くれぐれも気をつけて、上手に不眠症と付き合っていきましょう。