副鼻腔気管支症候群

私が医者になりたての頃は、気管支喘息の治療に一生懸命で、鼻水なんてたいして気にもとめていませんでした。
しかし、いつしか中耳炎やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(蓄のう症)もみるようになり、鼻の治療がしつこい咳や難治療の喘息にとても有効であることに気がつくようになりました。
ちょうどそんな時にふと目にしたのが、副鼻腔気管支喘息症候群という病名でした。
それは今から100年以上も前に作られた病気ですが、私にとっては目からうろこが落ちるようなくらいパッと視界が広がる思いでした。
「なるほどなるほど、やっぱりそうか。」と一つ一つ納得がいきました。アレルギー性鼻炎が何かで鼻が慢性に悪く、それがこじれて副鼻腔炎(蓄膿症)になりやすくなります。
そこにたまった鼻汁液がのどに落ちて、のどの奥の咽頭後壁や扁桃腺にこびりつき(後鼻漏と言います)、咽頭炎や扁桃腺になりやすくなります。
更に、のどから下がって、気管支の方へ回り痰となり粘膜を刺激してしつこい咳を引き起こすようになるのです。(喘息様気管支炎と言います)。そしてついには喘息発作を誘発したりもします。
このように口・鼻-副鼻腔-のど-気管支といった上気道はひとつながりで、病気もお互いに影響しあっているのです。
たかが鼻水とばかにしないで、いつも鼻はスッキリとさせておいて下さいね。いずれインフルエンザの予防接種が方に注射するのではなく、鼻に点滴するような時代になってきますよ。