口の中の事故

夏といえば、子供たちにとって楽しみなのがお祭りです。出店の綿菓子、チョコバナナ、フランクフルト等棒のついたお菓子を子供たちが口にする機会が増えます。
数年前に幼稚園の夏祭りで、お菓子の棒を口にくわえたまま幼い子が転んでしまい、のどに棒が刺さりそれが脳にまで達していて死亡するという痛ましい事故が起こり問題になりました。
このような口の中のけがは決してあなどれません。
そこで今回は口腔内の外傷についてお話しします。
■口の中の傷の特徴
口の中の傷というと一般的に、止血しにくく唾液と混じり合い案外多量の出血に思えて、保護者が気を動転させてしまいがちです。落ち着いて、清潔なガーゼやハンカチ、固く丸めたティッシュペーパー等で止血して下さい。
また口の中は消毒しずらく、常に舌や頬・顎の筋肉を動かしている為、薬を塗ってそっとガーゼをあてがい自然に治るのを待つということが難しく、治るのに時間がかかります。更には先ほど述べたように、大切な脳組織が近くにあるため一緒に傷つけやすく、また細菌が脳に入り込みやすい点に注意を払う必要があります。
■年齢によるケガの違い
それではどんな時に子供は口の中にケガをしやすいのでしょうか。一般的に幼い子は室内で、年長の子は屋外でケガをすることが多いものです。ヨチヨチ歩きで転んだり、高いところから落ちたり、人や物にぶつかったりということが多いと思われます。外遊びではブランコ・滑り台での事故が考えられます。室内では歯ブラシや箸等を口にくわえたまま転んで傷つけることが多いと思います。
■棒状の物が刺さったら
もし棒状の物で傷つけた場合、まず棒の先が尖っているか丸いか、折れていないか、まだ刺さっていないか確かめましょう。そしてすぐに設備の整った大きな病院へ連れて行き、レントゲンやCTの検査を受けさせて下さい。その場で刺さったものをすぐに抜くようなことは決してしないで下さい。思わぬ大出血で命にかかわることもあります。
■歯や顎に関すること
口の中だけにとどまらず、顎を強打して歯がグラグラしたり抜けたりした場合、抜けた歯は食塩水や牛乳に入れて歯医者さんに診てもらって下さい。もし歯の噛み合わせが違っていたり、口が開かなくなったり、顎を非常に痛がったりした場合は骨折の可能性があります。病院でレントゲンを撮ってもらい、更には手術が必要になることもあります。
■口の中を縫うことも
口の中の傷が浅くて圧迫のみですぐ止血すればよいのですが、傷が深くてなかなか止血しない・血が噴き出してくる感じの時は動脈を傷つけている場合も考えられますので、急いで病院で診てもらい傷口を縫合(糸で縫う)してもらう必要があります。
いずれにしても口の中の傷を安易に考えると後で取り返しのつかない事になりかねないので、病院に連れて行くべきかどうか適切な判断が要求されます。気を付けましょう。