耳よりな話(難聴)

耳の構造は外側から外耳、中耳、内耳に分けることができます。
外耳から入った音は鼓膜を震わせます。この振動が中耳にある3つの小さな骨を震わせて内耳に伝わります。

内耳の中にはカタツムリの殻のような形をした蝸牛があり、その中には有毛細胞がびっしりと生えています。その細胞は音を電気信号に変換をして神経に伝える働きを持っています。
音や声が聞こえにくい事を難聴といいますが、「伝音性難聴」と「感音性難聴」とに大別されます。

「伝音性難聴」は外耳から中耳にかけての、鼓動や音を伝える役割を持つ3つの小さな骨のどこかに障害があるもので、耳を塞いだ時のような聞こえ方をします。
ベートーヴェンが、耳が聞こえないためにピアノに頭を当てて振動で音を感じて作曲したとか、エジソンがレコードの音を聞くのに蓄音機に噛みついて音を感じたとかのエピソードはどちらも内耳以前の障害による「伝音性難聴」にあたります。

「感音性難聴」は音を電気信号に変換する内耳に障害があるために起こり、音が小さく聞こえるだけではなく、音が歪んだりある特定の高さの音をうるさく感じたりとまちまちです。
難聴に対して補聴器がよく使われますが、値段が数十万円もかかったり、機械の雑音がピーピーとうるさかったり、小さいため紛失しやすかったりと、いろいろ難点があります。

「感音性難聴」に対して『人工内耳』という小型の電極を内耳に埋め込む外科的手術をすることもありますが、人の話し声が抑揚のない無機質な声に聞こえ、言葉として聞き取れるようになるにはかなりのリハビリテーションが必要となります。

最近、従来のような補聴器とは違って音を増幅・集音して鼓膜に伝えるのではなく、耳のそばの骨の音の振動を強めて「骨伝導」で伝える仕組みの新しいタイプの補聴器が発売されて威力を発揮しています。

「伝音性難聴」の人たちには耳よりな話ではないでしょうか。