「ワクチンの複数同時接種を推し進めます!当院HP・携帯で予約を!

「VPD:Vaccine Preventable Diseases」(ワクチンで防げる病気)と言う言葉をご存知ですか?

様々な予防接種ワクチンの開発のおかげで人類は恐ろしい病気による死亡や重い合併症から免れられるようになってきました。これまで「ワクチン後進国」という汚名を着せられていた日本ですが、ここへきてようやく国も重たい腰を上げるようになりつつあります。
Hib(ヒブ)、肺炎球菌、子宮頸がんワクチンが無料になったのがその表れの一つです。

生ポリオから不活化ポリオへの切り替えもようやくなされようとしていますが、世界標準から見ればまだまだ不十分な状態と言えます。

今後は乳児の下痢・嘔吐に対するロタウイルスワクチンの無料化や、B型肝炎、ムンプス(おたふく風邪)、水痘(水ぼうそう)ワクチンの定期・無料化があと2年ほど(2014年)で実現されようとしています。

しかもMR(麻疹・風疹)ワクチンと同時にムンプス、水痘を1歳で打ち、さらに水痘は1歳半〜2歳までに2回目を打たなければ免疫が持続しないと言われているのです。ムンプスも2回目をMRワクチン同様、小学校入学前に打つべきと言われているのです。

それならば今すぐ実行すればいいのですが、「予算が足りない」として更に数年先に延ばされようとしているのが実情です。

他にも今や「大人の百日咳の流行」が問題になっていますが、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風)3種混合ワクチンは乳児期に1期3回、1年後に追加を1回の計4回接種で終わりとなり、12歳では百日咳を抜いたDT(ジフテリア・破傷風)2種混合ワクチンを打っています。私はもっと長期に百日咳の抗体が陽性であり続けるため「12歳の時に百日咳を加えた3種混合ワクチンを打つべきだ」と考えます。

更にDPT3種混合ワクチンに替わり、今年11月よりポリオの不活化ワクチンを含む4種混合ワクチンとなりますが、このように今後ワクチン接種の内容・体制が大きく変わる予定のようです。

「予定のようです」と表現せざるを得ないのは、国からも小児科学会からもただじっと待っていたのでは何ら情報が入って来ないからです。何もかもが不確定情報です。

ここ数年医療関係の情報は、ある日突然新聞やテレビニュースで「本日からこうなります」と聞き初めて知る事の連続でしたから・・・

今は国会議員や製薬会社のワクチン担当者に厚生労働省の各種委員会での討議内容を少しでも早く教えていただいて最新情報を入手していますが、できれば現場の小児科医の意見を参考にして、国の施策に取り入れて貰いたいものです。

一時期、同時接種を開始してすぐ7名もの子どもが死亡し、同時接種が直ちに中止になり、再開するにあたり「親と小児科医がよく話し合ってワクチンを同時に打つか、1回1回個別に打つのか決めるように」とまるで国はその責任を「親と小児科医に丸投げ」の姿勢」を示す有様で、その不信感から当院では1年間複数のワクチンの同時接種を自粛してきました。

今改めてその後の死亡例とワクチンとの関連性や全国の同時接種の実施状況、日本小児科学会の意見書、医師会の勉強会、そして個別予防接種スケジュールの過密さや同時接種の安全性等々をよく調べ熟慮した結果、当院では「数種類のワクチンの同時接種をさらに推し進めていく!」事がベストであるとの結論に至りました。

原則同時接種できるワクチンの数に制限はありませんが、必然的に両腕の上部、下部と両足大腿上部外側の6ヵ所とBCGを押せる上腕の中央部と経口によるワクチンの内服等とで、自ずと限界があります。

打てるワクチンはDPT3種又は4種混合(含む不活化ポリオ)、不活化ポリオの単独、Hib(ヒブ)、肺炎球菌、B型肝炎、日本脳炎、MR(麻疹・風疹)、水痘(水ぼうそう)、ムンプス(おたふく風邪)、子宮頸がん、BCG(結核)、ロタウイルスワクチン等々です。

当院ホームページ・携帯電話のQRコードにてアクセスし、予防接種予約欄の選択肢からお選び下さい。

もしショックなどの事象が起こった場合は、緊急対応の薬剤を常備して万全を期していますのでご安心下さい。よく分からない事があれば外来にて直接ご相談下さい。

院長

■参考資料
日本小児科学会の予防接種の同時接種に対する考え方

日本国内に於いては、2種類以上の予防接種を同時に同一の接種対象者に対して行う同時接種は、医師が特に必要と認めた場合に行う事が出来るとされている。一方で、諸外国に於いては、同時接種は一般的に行われている医療行為である。

特に乳幼児に於いては3種混合ワクチン、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチン等の重要なワクチン接種が複数回必要である。

これらのワクチン接種がようやく可能となった現在、日本の子ども達をこれらのワクチンで予防できる病気(VPD:Vaccine Preventable Diseases)から守るためには、必要なワクチンを適切な時期に適切な回数接種する事が重要である。そのためには、日本国内に於いて、同時接種をより一般的な医療行為として行っていく必要がある。

同時接種について現在分かっている事として以下の事が挙げられる。

1.複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンに対する有効性について、お互いのワクチンによる干渉はない。

2.複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンの有害事象、副反応の頻度が上がる事はない。

3.同時接種に於いて、接種できるワクチン(生ワクチンを含む)の本数に原則制限はない。またその利点として、以下の事項が挙げられる。

 1.各ワクチンの接種率が向上する
 2.子ども達がワクチンで予防される疾患から早期に守られる
 3.保護者の経済的、時間的負担が軽減する
 4.医療者の時間的負担が軽減する

以上より、日本小児科学会は、ワクチンの同時接種は、日本の子ども達をワクチンで予防できる病気(VPD)から守るために必要な医療行為であると考える。

日本小児科学会