げんき便り 6月号 97歳女性医師の生き方を見て

先日テレビを見ていたら、97歳で小児科医として今でも現役で活躍されている女性医師が紹介されていてびっくりしました。
以前のげんき便りで80歳の女性小児科医師の記事や更に88歳で米寿を同窓会で祝った記事を同窓会誌で見て驚かされたばかりでしたから、上には上がいるものだなあと感心しました。

そう言えば聖路加病院の日野原先生も悠に100歳を超えて未だ活躍されている事も驚きを持って思い出されます。

さてその97歳になられる女性医師は日中戦争、日米戦争直前の時代に、父親が内科医院をやっている女性友達のお兄さんと知り合いになります。彼は空挺部隊の中尉でした。

一方彼女の父は満州の清朝最後の皇帝「愛新覚羅溥儀」の警護をしていた高級官僚で日中・日米が戦争状態になるのは必至と分かっていたため軍人との結婚を認めようとしません。

しかし2人は互いに尊敬して惹かれあい結婚を許してもらいます。子どもも授からないまま戦況は激しくなり、新婚生活もほんの束の間で、彼はソロモン諸島の空で海の藻屑と消えてしまいます。その間150通もの手紙の交換をしていたそうです。

ついに戦死報告書と共に、投函されることのなかった手紙が彼女の手に届きます。

遺書には「これからの時代は女性も然るべき生き方をすべき!」「職業婦人として社会で有為な人として生きよ!」と書いてあり、涙を振り捨てその言葉に後押しされて関西の医大に入学し、33歳で卒業を果たし、嫁ぎ先の夫の内科・小児科医院を継ぐのです。

それ以降64年間もの間、今もお元気で診療を続けているとの事です。

その原動力となったのはきっと、理解のある夫の愛情と女性のこれからの社会進出を後押ししようと言う時代の潮流と何よりも彼女の強い信念の賜物と思います。

「昔の日本人は偉かった。それに引き換えいまどきの青少年は一体どうしたんだ!」と言う声が聞こえて来そうですね。でも若者たちはいつの時代もそういわれていずれ社会を担い、また若者批判をするものです。まずは今の自分の生き方を省みて、少しでもこれからの若者に模範を示したいものです。頑張ろうニッポン!頑張れ若者!

院長