げんき便り2014年9月号 天災と人災

地球温暖化が叫ばれて久しいですが、それにしても最近の気候変動は激しいですね。
まるで温帯気候に属する日本が亜熱帯かか熱帯になってしまったみたいです。
今年の夏は本当に「猛暑」の一首に尽きます。最高気温が37度を超える日が何日あった事でしょう。熱中症の患者さんも多数見えました。

さすがに私も8月後半は診察後の多用の多さのせいもあってバテバテでした。
東京の代々木公園で蚊に刺された若者が70年ぶりにデング熱を発症したとのニュースを聞くにつけても、やはり熱帯化の流れかなと思ったりします。

そんな中での広島市での記録的な大雨・土砂災害のニュースには、疲れていた体に追い打ちをかけるようにとても心が痛みました。
利根川や荒川にはさまれているとはいえ近年氾濫の危険性もなく、山もない平地の行田市周辺はずいぶん恵まれていてありがたく思わなければとつくづく思いました。
被災され亡くなられた方々の冥福と未だ避難されている方々の一日も早い安定した生活への復帰を祈っております。

そういえば福島原子力発電所事故の影響で未だに避難されており、日常の平穏な生活を奪われている人たちがまだまだ日本にはたくさんいる事を忘れてはいけないとも思います。20年ほど前に日本国中の原子力発電所建設のほとんどに関わった国の工事担当の責任者という方の「警告文」を偶然目にして驚き、「これが本当ならばこんないい加減なことが放置されて良いわけがないと」と思い、その内容を要約してクリニックの外来で患者さんたちに配ったことがありました。

その内容は「全国の原発建設をする際にその地方・地方には素人のような大工さんばかりでベテランと言えるような熟練した大工さんの数が圧倒的に足りないのが実情との事。
しかも原発は配管の化け物で、サイズ・規格がバラバラのつぎはぎだらけで、とても放射能を何十年・何百年も責任持って扱えるようには思えないとの事。いつか大事故を起こしてしまうのでは?」というものでした。
果たして今回福島原発の事故が起こってしまい、その復旧事故のドタバタしている様子を密につけても、あまりに初歩的な放射能漏れの欠陥工事が続いており20年間前に聞いたお話はやはり本当だったのだと今思っています。
広島でも、福島でも何も知らされずに突然被害に遭うのは決まって庶民であり、その問題点をあらかじめ知りながら放置してしまう責任のある人が必ず存在するという図式、なんとか変わってほしいものです。