げんき便り2016年10月号 詩吟の再開

一時中断していた「詩吟のレッスン」を今年の7月から再開して3カ月程になります。当院では年中無休の状態を7,8年続けていたのですが、ひょんな事から小児科の専門医で内科全般も診れる女性医師が偶然見つかり、毎週月曜の午前・午後の終日診療して頂ける事になり、その嬉しさのあまり、父が40歳の頃突然始めた「詩吟」なるものを趣味で始めたのが2年前の事でした。

ところが月曜の代診体制は1年程しか続かず直ぐに「年中無休の生活」に戻ってしまい、詩吟は3カ月ほど断念していました。

その頃ちょうど2年間かけて発達障害(自閉症スペクトラム)の子ども達に「問診、検査、診断、薬の内服治療」以外に、「行動療法的な療育的手段」を準備しており、熱心に研修してくれていた女性職員が突然辞める事になり、そのショックもあり「趣味で詩吟をやってる場合ではない」と思って中断していたのでした。

今は少し気持ちも癒され、気力を取り戻して来たので、再び詩吟に再入門させて頂きました。しかも桶川まで行って個人レッスンを受けていたのですが、2代目宗主市川泉心様の特別の計らいで鴻巣市の公民館を借りて4人ほどで鴻巣支部を作って頂きました。

月に2回、新しい3つの詩吟作品をCDで練習してきて各人が披露するものです。

特別な計らいを受けた事もあり、必死に夢中でやって来たところ、2年に1回あるという「支部全体の発表会」が先日上尾のホールで行われ、私も乃木希典作の「金州城下の作」を大舞台で詠う事になりました。

日曜午後1時半からの出番だったので、いつもより30分ほど早く外来診療を始め12時ピッタリに診療を終了する事が出来、会場に1時15分に到着し、無事大役を果たす事が出来ました。

とても広い会場だった為緊張してしまい、音調が伴奏に少し合わなかった気がしましたが、自分でもびっくりするほど大声を張り上げて吟じることが出来ました。

いつも自宅で練習する時は家族やご近所の方に迷惑になるので通勤途中の車内で大声を張り上げておりました。きっと対向車の運転手さんから見たら何やら大きな口を開けて叫びながら運転している私の姿は滑稽に見えていた事でしょう。

当日の圧巻は2代市川泉心によるシンガーソングライター並みの洋楽と邦楽のコラボレーション、ベートーベン作ソナタ「月光」のピアノ演奏に合わせて李白作の漢詩「静夜思」を吟ずるというものでした。感動しました。ちなみに「詩吟は声の武道という」のだそうです。

いまは亡き父と共に合吟したかったと思います。「親孝行したいときには親は無し」です。

院長