げんき便り3月号 レ・ミゼラブルに思う

年末年始はインフルエンザの注射が毎日あり、患者さんも多くて、その他各種書類書き等が重なり超多忙でした。それで気力・体力の限界!という事で「忘年会」を取りやめて「新年会」に振り替えましたが、その時病児保育所の保育士さん達から「ミュージカル「レ・ミゼラブル」がものすごく良かったよ」と聞き、翌日に早速時間を取って妻と娘と3人で観に行ってきました。

私は中学生の時に友人達と偶然「ビートルズがやってくるYAH!YAH!YAH!」という映画を目的にミュージカル3本立てを観に行った事があるのですが、後の2本が「サウンドミュージック」と「ウェストサイドストーリー」という素晴らしいミュージカル作品で、とても衝撃を受けました。それ以降というものあらゆるミュージカル映画を十年以上も見まくりました。

「メリーポピンズ」「南太平洋」「マイフェアレディ」「ラマンチャの男」舞台では本場イギリスで「キャッツ」「美女と野獣」、日本では「アニー」「セーラームーンミュージカル」など子供たちを引き連れて行っていました。

最近は忙しさにかまけてここ十年以上観ていませんでしたが、久々に観る事が出来てとても感動しました。映画の最中ずっと涙が止まらず、上映が終わっても観客の誰一人立ち上がろうとしません。私も涙でくしゃくしゃの顔を見られたくなくずっと座っていました。

すると娘が「すごいね!出演者のみんなが主人公みたい!脇役がいない!」とつぶやいたのです。私もまったく同じ感想を抱いたので、びっくりでした。

日ごろ外来で何気なく行き交う患者さん達でも「それぞれの事情を抱え、一生懸命自分の人生を必死に生きているのだ」と言う事にまで思いを馳せる事が出来て、大事な事に気が付かされました。

その後もう一度一人でじっくり「レ・ミゼラブル」を観てきました。

あらすじや内容がより深く分かりこのミュージカルのテーマが「無償の愛に基づく正義の遂行こそが人としての最高の生き方では?」と問いかけているようでした。主人公のジャンバルジャンはもちろん、彼を執拗に追いかけて法による正義の遂行を求めつつ愛なき自分の正義に疑問を抱き自ら命を絶った警部、民衆への愛による革命という正義を遂行しようとした学生たち。とてもこれからの私の生きる姿勢に刺激を与えてくれました。

そしてこれからも患者さん達と外来での「一期一会」と「愛ある正義の遂行」を大切にしていこうと改めて思いました。宜しくお願い致します。

院長