NO.108

平成13年6月1日発行

ハンセン病患者の隔離政策の見直しを怠った国の責任を追及する熊本地方裁判所の判決がありましたね。

ハンセン病(らい病)は聖書にも記載のある古くて有名な伝染病ですが、かつての恐ろしい伝染病であるコレラやペストと同様に治療薬、治療法が確立し、病原菌の力も弱まり、とっくの昔に解決されたものと思っていたので、私自身「まだ解決されていなかったのか」と意外に感じました。

今から20数年前の学生時代に「ハンセン病患者が不当に隔離され続けている」ことを自治会の勉強会で学び、東京都と群馬の収容施設を訪れ患者さん達と面会し実情を聞き、自分の大学の新聞や全国医学生新聞に「隔離不当」の記事を書き、啓蒙運動をやった記憶があります。
その時でさえ「ハンセン病患者を隔離し続けることは問題である」と言われてから10数年以上たっていました。

それがその後もさらに20数年んも続いていたことを知り、言葉を失いました。
判決直前になると思い出したように急に騒ぎ立てるマスコミ、先輩官僚のやってきたことをただ申し送るだけで、自分の任期のみ平穏に送れればいいとする事なかれ主義の厚生省の役人、そして問題意識の低い国会議員達といろいろな要因がからんで30数年もの時間が経ってしまったものと思われます。

でもその中に、一度は気がつきながらも、再び無関心な生活に戻っていった自分もいたことを今回の判決で改めて気づかされました。

何事もあきらめず粘り強くやり続けることが大事だし、第三者は自分を含めて無責任であてにならないものだと思い、かつ反省しました。
ハンセン病患者さん達の今後の生活に幸あれと願っています。