No.180 日本の医療制度の行く方向

アメリカの映画監督マイケル・ムーア氏のドキュメンタリー「シッコ」という映画を観て来ました。
シッコ(sicko)は「病人」を意味する俗語で「アメリカの医療制度は病気だ!」という意味でも使われているようです。
映画は4700万人の保険に加入出来ない人々の悲惨な実態だけでなく、保険に加入している2億5000万人のアメリカ人達が保険に入っているにもかかわらず医療の支払いを拒否されている悲劇に焦点を当てています。
また一方で、既往症の申告漏れを見つけ出し医療費を払わないよう画策する保険会社とそれに協力する保険会社の医師たちの姿を追い、利潤追求第一主義・弱者切捨てが横行するアメリカ医療の実態を暴いています。
更にカナダ、イギリス、フランスなどの公的医療制度が整備された他の国々を取材し、アメリカ人が嫌い恐れる共産主義・社会主義的な施策で、全ての国民が公的保険の恩恵を受けつつ、医師も一定の収入を保証される制度が実現できる事を訴えています。
アメリカの大統領選挙が近づいていますが、その一番の目玉となる政策が「国民皆保険制度の導入の公約」と言われています。
ところで国連のWHO(世界保険機構)は世界中の医療の実態を比較して順位をつけて発表しましたが、日本の医療はなんと総合1位の評価を受けました。
日本は世界一の寿命を達成し、国民がどこでも自分のかかりたい医療機関を自由に選んでかかることができ、受診までに何ヶ月も待たされることもありません。費用負担も公平であると高く評価されたという事でしょうか。
ただし「医療制度の効率性」つまりその国の医療制度で最大の効果が発揮されているかどうかという点では1位はフランスで、日本は10位でした。
まだまだ運用を上手にすればもっと良くなる余地があるという事でしょうか。
少なくとも今の日本の医療制度は世界の中ですばらしい位置にあり、私達はそれを大切に守り発展させなければならないと思います。
間違ってもアメリカのような自由の名の下に貧富の格差を拡大させるような利潤追求一辺倒で、民間の保険会社に好きなようにさせてはならないと、「シッコ」を観てつくづく思い、是非多くの皆さんにも観てもらいたいと思います。
では皆様来年も(今年も)良いお正月をお迎えください。