No.191 一人っ子と社会

西暦2000年を記念して子どもを産むというミレニアムベビーブームから早くも9年が経とうとしています。
一時若干の出生率の上昇は見られたものの、相変わらずわが国の出生率は減少の一途を辿っているようです。
中国のごとき一人っ子政策をしている訳でもなく、政府は逆に少子化対策を謳っているにもかかわらずです。
女性の社会進出、高学歴、晩婚化、子どもが生きるには危険で劣悪な環境、育児・学費がかかりすぎる等々理由はいろいろあげられることでしょう。
社会が複雑化してストレス一杯で不妊症が増えた、一人産んだところで次の子どもをコントロールしているうちに二人目がなかなか授からなくなる続発性の不妊症というのもあるそうです。
政治家たちは高齢化社会を前にして女性たちになんとか子どもを産ませよう・子どもを増やそうと躍起になっているようにも見えます。
世界一の老人大国を前に、高齢化社会の担い手・将来の労働力として期待されているようにも思えます。
子どもたちにとってはこんなに失礼で迷惑な話はないでしょうね。
人間もこの地球上の生き物の一つとしてその誕生をただ単に素朴に喜んで祝ってあげればいいのではないでしょうか。
一人っ子は手をかけられすぎて育つから、甘えん坊でわがままで協調性に欠けるとか、中国では一人っ子のことを暴君に例えて「小皇帝」と呼んでいるみたいですね。
そういう一人っ子の欠点を一家庭だけに責任を押しつけるとすれば、母親の受けるプレッシャーはすごいものになりそうですね。
子どもの数が多いに越したことは無いのですが、社会全体で一人ひとりの子どもたちを守り・育て・磨いていくという気風があったら良いのにと一小児科医としては強く思います。
もっと社会全体が連帯感をもって子どもたちの未来に責任をもちつつ、叱ったり、褒めたり、激励したり出来たらいいなと心から思います。
それから政府には子育て支援を本気で物心両面でお願いしたいと思います。
選挙が近いんだから!では来年も良いお年を。新年もよろしく。