No.207 不況の風が外来でも

政権が交代して8ヶ月余りですが、世の中あまり替り映えしませんね。
むしろ景気は悪化しているように思えてなりません。リーマンショックにギリシャの経済破綻に端を発するユーロ危機と日本経済は振り回されています。
不況であることを身近なところで感じるのが、外来での患者さんの様子です。
会社が潰れたり、解雇されて再就職もままならず、保険証がないまま受診される方が増えているように思います。もちろんそれでは保険機構からお金が支払われず、未収金として当院が被害を被ることになります。
病院の場合はもっと規模が大きいので損害額は数百万円にもなり、潰れてしまいかねません。でも医療機関が借金取りのようなまねをしているとは聞いたことがありませんから、きっと泣き寝入りしているのでしょうね。
あと高血圧や通風などの生活習慣病の方が内服薬がなくなっても何ヶ月も受診せず、血圧が信じられないほど高くなってから受診されたり、通風の発作が再び起きてから来院されるケースもあります。
「命にもかかわることなのできちんと薬を飲み続けて下さいね」と言っても、「医療費にそんなにかけられないから」と、「2週間分だけ下さい」と言われてしまいました。
風邪ひきぐらいなら「そのまま我慢しても何もせずに自然に治るのを待つ」という人も多いようです。
結果が悪くなければそれも仕方がないことでしょうが、なんという時代になってしまったのだろうと気持ちが落ち込みます。
なんとか政治の力で、最低限の生活や健康を保障できる世の中にしてほしいものです。
世界の国々の中ではまだ日本は恵まれている方なのかもしれませんが、真面目にコツコツとみんなで努力して少し経済が何とかよくならないものでしょうかね。