NO.27

平成6年4月1日発行

平成の米騒動もようやく鎮静化に向かってきたようですね。
それにしても日本の今の繁栄は、やはりガラス細工か砂の上に作ったお城のようにもろいものではないかと、今回の騒動で実感させられました。

食べ物だけでなく、エネルギーやいろいろな製品の原料を他国に依存して生きている日本。世界中の多くの人々に支えられて生きている訳で、戦争の資金援助なんかとは違った形でもっと喜んでもらえるような恩返しをしていかなければいけないと思います。

それなのに、今回、タイ米が「まずい」とか「くさい」とか「日本米とセットで買わされても捨てて食べないわ」とか言う一部の人の発言を聞くにつけ、いつから日本人は感謝の心を忘れ、こんなにも傲慢になったのかと思います。

タイでもごく一部の人が米の輸出で暴利をむさぼり、米価が2倍にはね上がり、現地の庶民や飢餓に見まわれて輸入米に頼っているアジア・アフリカの国々が買えないというしわ寄せが起こって、迷惑をかけていると聞きます。
強者が札ビラを切って、弱者が泣きをみるしくみ、なんとかならないものでしょうか?

同じ事が医療、福祉の方面でも、形を変えてみられると私は常日頃から感じています。「自分は障害者を、老人を、子供を、外国人を差別しない」と頭で考えている人も、具体的な場面に立たされると、その場の雰囲気でかなり傲慢で、失礼な言動をしがちです。そして、その人を無視したり、仲間はずれにしたり、この場にあなたはふさわしくないと排除しようとします。「能力が低い」「作業能率が悪い」「生活能力がない」と地域から、職場から、暗黙の内に排斥されていき、隔離収容、入院、強制送還、失業となるのです。

セカセカと何かと忙しい今の日本の世の中、もう少し、精神的に余裕をもって弱者が存在できる場所を保障し、認めてやる気を出させ、さりげなくサポートしてあげ、一緒に仲良く生きていきたいものです。

当院で行っている「精神科デイケア」も、ボランティアで行っている「げんきサロン」もそして「子育てサロン」もそういう考えを育み、実践する場になるものと期待しています。
いずれ、アジア各国からの若い小児科医をホームステイに迎えて、国際交流を深めたいと考えており、40の手習いよろしく、英会話勉強をしはじめました。

もうすぐ、4月に入り、新入学、新入社の季節ですが、みなさんにとって、私にとって、今年は果たしてどんな年になるのでしょうか?
余裕とやさしさと、感謝の心をもって、この一年にのぞみたいと思います。
友の会、ボランティア活動も新年度に入ります。多くの方々の参加とご協力をお願いします。