NO.28

平成6年5月1日発行

今月、5月は、男の子の成長を祝う「端午の節句」があります。
子供を日ごろ診察していて、男の子の特徴で、気が付いたことがあります。男の子は、女の子より2割近く多く生まれ、成人までにほぼ1:1と同じ比率になると昔から言われてきました。(最近は、医療の改善で死亡率が減ってきましたが・・・)

それくらい、生命力が弱く、小さい頃は、しょっちゅう病気にかかり、病弱で、大いに母親が悩ませ、男の子は「育てにくい」ものだと言われてきました。
育てにくい、もう1つの理由は、母親への依存性が強く、桁外れに母親離れしてくれないケースが多い事です。

男の子は、その泣き方、泣き声1つとっても、女の子と違って、充分に母親の同情と心配をあおり、ついつい、母親が手を出さずにはいられなくさせる「こつ」を本能的に、身につけているみたいです。
そういえば、診察室で痛くもないのに怖がってワーワー泣いて大騒ぎするのも、注射や点滴で半狂乱になるのも、男の子の方が圧倒的に多くて、「なんて弱虫なんだろう」「大人になって、えらそうな顔をしていても、子供の頃のそんな様子をビデオでも撮っておかれたら、グーの音も出なくなるんじゃあないだろうか」とさえ思えてきます。

それにひきかえ、将来、お産の陣痛に耐えなければならない女の子は、幼少の頃から、恐怖、痛み、ストレスにめっぽう強いみたいです。

しかし、そんな男の子も、いつしか、小学4年生頃になると、病気がちでなくなり、余り泣き虫でもなくなり、りりしいしっかり者になってきますので、御安心下さい。
世の母親の皆さん!小さい頃は、男の子はそんなものなのだと許してあげて、心を広く余裕を持って接してあげて下さい。

そして必要以上に、その言動に振り回されないで、程良い距離を保って賢い子育てをして下さい。
さて、幼稚園や小学校に入学したての子も、会社に入社したての大人の新人さんも、5月の連休が明けてからしばらくすると、少しは新しい環境になじんで、笑顔もみられるようになり、いつものようなイキイキとリラックスした姿がみられるようになる頃です。
新緑の若葉のエネルギーを十分に吸収して、さあ元気に、張り切って、5月を満喫して下さい。