NO.62

平成9年4月1日発行

4月で思い出すことは小学校入学の時の事があります。
なんだかワクワクする反面、親に手をつないで連れていってもらいながらも、教室に入っていく時とても緊張して恐かったのをつい昨日のことのように思い出します。

あの緊張のストレスたるものやすごいもので、その事を思い出すたび小児科医として、いろんな場面での子供たちの気持ちを想像するのに大変役立っていると思います。
その後も学年が変わって担任の先生やクラスの友達が変わってしまうのもすごく不安な気持ちで迎えた事を思い出します。
ただ何日かするときまって一人くらいは話のできる友達が必ずできるもので、それでいつのまにか新しい環境のストレスにも慣れていけたような気がします。

それから医者になり大学病院での研修を終え、やはり4月に都立病院に赴任して外来を任された時のこともはっきりと思い出します。
心細さと責任の重さに日々耐えながら、毎日の患者さんの名前をちょっとしたメモに書き残し、それについて後で調べたことを書き加えながら、大学ノートに切り張りしてそれをまとめて次の診察日にそなえたものでした。

その習慣はいまも続いていますが、あの頃の緊張たるやすごいものでした。
それから今に至るまで、年齢とともに年々神経が図太くというか鈍くなっていくので、それでずいぶんとストレスから救われてきたように思います。

みなさんお子さんやお孫さんが学校や職場その他でこの4月から環境が変わった場合、自分自身が経験してきたことを思い出しながら、まさにそんな状況にあるのかなあと想像力を働かせて接してあげて下さい。