NO.64

平成9年6月1日発行

つい先日学会で一週間ほど中国へ行ってきました。
今迄開業以来、心身ともにぎりぎりのところでこの5年間頑張ってきたので、今回ちょうどいい具合にリフレッシュさせてもらいました。
これからも時々こんな風にお休みをもらいながら充電して、また良い仕事ができるように頑張りたいと思います。

それに外から自分の国を見つめ直すのも、視野が広がっていいことかもしれません。
中国は国土がとてつもなく広く、資源は豊富でしかも人間がとても多く且つバイタリティに溢れています。
競争原理が導入され今や資本主義の国の様に見え、貧富の格差は日本よりひどいように思われました。
ただ揚子江に巨大なダムを建設するといったん決めると、山峡下りで有名な名勝地でもダムに沈めてしまい住民も100万人近い人が移住させられてしまうとの事。
日本だったら環境破壊、移住を拒否する住民の反対で絶対できないことを強引に実行できるところはやはり社会主義国ならではの事。
韓国よりも日本人に対する風当たりは強くなく、むしろ経済的には歓迎されているような気さえしました。

医者はそれほど優遇されていないようで、月給もせいぜい2万円程度(庶民は数千円ぐらいといったところ?)。
医学校・医学部はかなりが軍医養成で、学会で話しかけてきた軍医や軍医の卵たちはやはり会話の端々に適愾心をチラリチラリとうかがわせ、やはり社会主義国なんだと思ったり、もしかしたら中華思想のせいかなと思ったりしました。

でも何といっても一番ショックだったのは「一人っ子政策」の徹底で、街角で子供の姿が極端に少なく感じられてとても寂しい気がしたことです。
それに両親に宝物のように大切に育てられるのはいいけれど、大人に取り囲まれちやほやされ放題で大人になっていって、この国の将来は大丈夫なんだろうか?と日本とだぶらせて余計な心配をしてしまいました。

いずれにしてもお互いの文化や常識の違いを認め合って仲良く付き合っていくことが大切なのでしょう。