NO.85

平成11年5月1日発行

桜の花もあっという間に散ってしまい、若葉の緑が目にしみるようです。
それに日が伸びて、昼間の明るい時間帯がずいぶん長くなった気がします。
「春眠暁を覚えず」と言いますが、春というよりも、むしろ初夏を思わせるような汗ばむ日も見られます。

体が気候の変化についていけず、めまいやだるさなど体の不調を訴える人が増えてくる一方で、やたら眠くて仕方がないという人もいます。
体の緊張がゆるんで、よく眠れる割りには疲れがなかなかとれないのもこの季節の特徴かもしれません。

ところで「睡眠-覚醒障害」という言葉をしっていますか?
不登校の子どもやうつ病の人、その他精神神経疾患の人達に多く見られる現代病のようなもので、一度寝たら最後、朝になってもなかなか起きられず、そのため規則的な日常生活が送れなくなってしまうものです。

普通人間は体内時計を持っていて、朝明るくなると自然に目が覚めて、夜暗くなると自然に眠たくなるようなリズムができあがっているものなのです。
しかし文明が進歩して、夜になっても明かりがいつまでも煌煌とともっていて、しかもテレビ番組をはじめとして楽しそうなことを、夜中じゅうやっているようになりました。

今や花も果物も温室の中で、明かりをともす時間を少しずつ調節することによって、夏の花や果物も冬楽しむこともできるようになっています。

人間も微妙に冷暖房の普及や、夜になってもいつまでも明るいままの環境の変化に体内時計が次第に狂いはじめてきているようです。

もし一度このような状態になってしまうと、もとのリズムに戻すのは並大抵のことではできません。
それに対して何千ルクスという非常に明るい白色光を毎朝寝ている患者さんの顔に当て続けて、やがて自力で起きられるようになっていくという一風変わった治療法があるそうです。

不眠症の治療の一つにも、昼間必ず一定時間以上、直射日光に当たり続けると効き目があると言う話を聞いたことがあります。

事の真偽は分かりませんが、太陽がまぶしく感じられるこの季節、なるべく日光浴を心がけて、眠りかけているかもしれない原始のリズムを取り戻してみませんか?