NO.86

平成11年6月1日発行

「育児をしない男を、父とは呼ばない。」これは厚生省による少子化対策キャンペーンに使われたポスターの言葉です。
安室奈美恵さんの夫で、ダンサーのSAMさんが赤ちゃんを抱きながら、そう訴えています。

反響は良くも悪くもかなりあったようで、子育て中の若いお母さんたちは「よくぞ言ってくれた!」と思うだろうし、反対の男性たちからは「仕事でくたくたなのに家に帰ってまで育児しろなんてじょうだんじゃない」という声が聞こえてきそうです。

封建的な時代の影響が色濃く残っている年配の世代では、女性も「育児は女性の仕事よ」と考えるのがあたりまえだろうし、「女・子供は劣る存在」と考えてきた年配の男性は「男に育児をしろなんてけしからん」と当然考えるでしょうね。

私の母校では、かつて1学年100人中女性は3〜4人にすぎなかったのが、いまや40人以上が女子に占められ、もうすぐ医者の半数は女医さんという時代になりそうな勢いです。

そのように女性の社会進出がめざましく、結婚・育児以外の心ときめく世界(生きがい)を知ってしまった女性たちを、育児だけの世界にひとり閉じ込めておくことは不可能に近いことでしょう。

また、今のように核家族化が進んだ時代では少しでも夫の協力を仰がなければ、とても女性だけではやりきれず悲鳴をあげてしまうことでしょう。
ひとりで育児を任され(押し付けられ?)その味気ない孤立感からノイローゼ気味の女性たちに、「もっと母性に目覚めて楽しそうな顔をして育児すべきだ」と言うのは酷な気がします。

女性を孤立感から開放し、夫に見守られながら子育てしているという一体感が持てるよう協力することは必要ではないかと思います。
それは協力する時間の長さではなく、夫の気持ちが自分や子どもたちにも向いていると実感できることが大切なのだと思います。

高度成長のめざましかったバブル景気の頃は多くの夫たちは企業戦士として、そのエネルギーのほとんどを企業に吸い取られてしまい、家庭に戻ると抜け殻のように無気力にゴロゴロしてまるで粗大ゴミのような人が多かったのではないでしょうか。

さあお父さんたち!6月20日(父の日)はもうすぐですね。
仕事にいそしむのももちろん大切ですが、家族にもっと目を向けて、妻や子どもたちの言動・しぐさに関心を向けてみませんか。