呼吸が苦しい

最近年配の方と青年が呼吸が苦しいといって来院されました。
今回は同じような訴えでも、年代によって考える病気が全然違うというお話です。

□気管支喘息
一般的には、まず喘息発作をあらゆる年代で考えます。
胸や喉から息を吐き出す時に、ヒーヒーゼーゼー音がして、激しく咳き込んだりします。時に高熱を伴い、胸のレントゲンで「肺炎」が発見されることもあります。

□自然気胸
痩せ型の青年に多く、突然何の前ぶれもなく片方の胸から肩にかけて激痛が始まり、歩くだけでも痛みが走り、ましてや痛い方の胸を下にして寝ることができません。
呼吸も少し苦しく感じられます。
原因は、細かい肺胞の集合である肺臓組織の中に、ブレとかブラと呼ばれる生まれつき巨大な肺胞が存在し、それが何らかのきっかけでパチンと破けてしまい、肺の外側に空気が漏れて、肺がしぼんでしまい痛みや息苦しさが起こるのです。
治療としては、大概の例では安静にじっとしているだけで、1ヶ月もしないうちに自然に肺がふくらみ、穴も閉じてしまいます。
稀になかなかふくらまず、胸に外から穴を開けてチューブを差し込み、ポンプで漏れた空気を抜いて陰圧にして強制的に肺をふくらませたり、手術で穴を塞いだりすることもあります。

□心不全・肺水腫
年配の方に多く、心臓自体に不整脈がみられたりする事が多いようです。肺や肝臓や腎臓が弱っていて、体に水分が蓄積され、心臓にかなりの負担を強います。
すると心臓のポンプ作用が弱り、更に体に水分が溜まるようになり、肺に水が溜まり酸素と炭酸ガスの交換がうまくいかなくなり、呼吸が苦しく、息切れが起こります。
顔や手足もむくみ、胸のレントゲン写真を撮ると、心臓が巨大にふくらみ、肺野には白い綿雲のような影が写り、水が溜まった所見がみられます。
治療としては、すぐに入院してもらい、安静にしてもらいながら、酸素を吸ってもらったり、心臓の筋肉の働きを強くする強心剤や体の余分な水分を体外に出すための利尿剤を飲んでもらいます。