喘息の吸入とステロイド薬

そろそろ喘息発作を起こして来院する人の数が増えてきたように思います。そう!6月から7月にかけてのうっとおしい梅雨の季節は喘息発作が起きやすい季節なのです。
喘息はのどから気管支・肺に通じる気道の粘膜が過敏になり、ほこりやタバコの煙、気候の変化、風邪などをきっかけにして気道が狭くなり、呼吸困難の発作を起こす病気です。
以前は一過性の病気とみなされていましたが、近年になっておおもとの原因が気道粘膜の慢性的な炎症であることが明らかになってきました。
その結果、発作が起きてから抗生剤や気管支拡張剤で鎮める治療から、発作を予防管理することに力点が移りつつあります。
新しいアレルギー学会による喘息治療ガイドラインでは、吸入ステロイド薬を軽症の喘息発作から使用してもよいとしています。
それによってある大きな喘息専門の病院では、発作による入院患者数を極端に減少させることができたそうです。
20年も前に一度、吸入ステロイド薬の乱用による副作用が問題となり、それ以後はあまり使用されなくなりましたが、その後の薬剤構造の改善や1回の噴霧量の減少などにより安全に使用できるようになったので、再評価されるようになったのです。
決められた基準どおりの量を使用する限りは、全身性の副作用はまず心配なくなりました。
むしろ免疫力も落ちることなく、しかも炎症を抑える作用が強いので、風邪など気道感染が起きにくくなるのです。
吸入ステロイド薬を上手に取り入れることによって、しつこいまたは重症の喘息の発作から開放されるといいですね。