妄想性障害

「いつも誰かに見張られている」「知人が人を使って自分の後をつけさせている」「毒をもられている」などの考えにとらわれ、時にはその相手に突然詰め寄ってしまい周りの人間をハラハラさせることも。
しかし日常生活上は特に問題を起こすこともなく正常に過ごせている。
こういう方の家族から時々相談を受けることがあります。

それほどひどく奇異とも言えない妄想を長期間もち続けますが、対話性の幻聴体験がないこと、精神機能・社会生活機能面で著しい障害がないことが特徴といえます。
人生の分岐をなす、本人にとって重大な現実の出来事がきっかけとなって起こり始めることが多いので、その発病には心理的原因が考えられます。

治療については抗精神病薬では効果が不十分なことが多いのですが、妄想にかられて興奮したり、不適切な行動を起こすなどの問題は減ります。ただし本人が精神科や心療内科の受診を拒否することが多く、治療に窮することが少なくありません。

それでは放置されたままでいると症状がどんどん悪化してしまうかといえばそうでもなく、改善はしないものの多少の悪化と改善を繰り返すのが一般的のようです。
また妄想については周囲から否定されればされるほど強固に主張するようになってしまいます。(妄想を否定されると、自分が周囲から拒否された、存在価値を否定された、孤立させられたと感じてよけい周囲を避難し攻撃するようになります。)

だからといって本人の言っていることを支持して増幅させるような言い方は避けるべきでしょう。

例えば「あなたの言っていることはにわかには信じられないようなことで、自分には本当にそうだとは思えないが、あなたが困っていることは理解できたので、困難を解決するために一緒に努力していくつもりです。」と伝えればよいのではないでしょうか?

そして実際に努力する態度をみせて信頼関係を築き、不眠や頭痛、食欲不振など本人が自覚する症状があれば、その解決のためとして医療機関への受診を勧めてみたらどうでしょうか?