流行性耳下腺炎(おたふく風邪)について

近頃は「おたふく風邪」がダラダラと1年中流行していて、今も外来でよく見られます。しかも、「反復性耳下腺炎」という紛らわしい病気もあって、実に医者泣かせです。
◇おたふく風邪”とは
耳の下(耳下腺)が腫れて痛がります。たいていは左右とも腫れますが、片側だけの事もあります。
時に左右の顎の下にある顎下腺も同時に腫れます。
腫れは約1週間でおさまり、熱もせいぜい3~4日で落ちつきます。
潜伏期間は12~22日ほどです。
◇治療
熱や痛みを抑える薬を処方します。痛い時は冷湿布が効果的です。
◇家庭で気をつける事
1. 酸っぱいものや、よく噛まなくてはならない食べ物は避けましょう。よけい痛くなります。痛みが強い時は噛まずに飲み込める物を与えます。(牛乳、味噌汁、ポタージュスープ、プリン、ゼリー、お粥、豆腐、グラタンなど)
2. 腫れがひくまで約1週間程は他の子にうつります。休ませましょう。
3. 頭痛が強く、何度も吐く時は髄膜炎という合併症の疑いがあります。入院治療を!
4. 睾丸を痛がる時、お腹を激しく痛がる時も、睾丸炎、膵炎の疑いがあります。いずれもすぐに受診しましょう。男性の大人は特に睾丸炎になりやすいので注意!
[反復性耳下腺炎]
何度も耳下腺が腫れる子がいますが、その内1回はおたふく風邪かもしれませんが、それ以外は反復性耳下腺炎と呼ばれます。
アレルギー体質で、分泌腺の細い管が詰まりやすい人に起きやすい傾向があります。
血液検査でおたふく風邪のウイルス抗体の値を調べておくと、今後の診断、治療、隔離の方針に大いに参考になります。