溶連菌感染症について

溶連菌感染症というのは、昔で言う”猩紅熱”の一種なのですが、年々軽症化してきて今ではそれ程恐ろしい病気ではなくなりつつあります。
しかしまれに腎臓の合併症を起こすことがあるので、それなりの注意をはらって経過を診ていく必要があります。
沖縄地方では同じ日本でも病気の変遷が遅れていて、今でも腎合併症で多くの子供が入院しているようです。
症状は発熱・喉の痛み、発赤・目の充血そして顔・首・体幹・手足に粟粒状の紅斑がみられ、とても痒くなります。
喉の所見は細かい点状の発赤がみられ、咽頭や扁桃が真っ赤に腫れ、いわゆる咽頭炎・扁桃腺炎の状態となります。
数日たつと、舌の表面の乳頭が腫大してプツプツと目立ち、あたかも苺の表面のようになるので、イチゴ舌と呼ばれる状態となります。
発疹の方は熱が下がるとともに次第に赤味がとれ、痒みもなくなり、そのうち皮膚の表面が薄くボロボロとむけてきます。
治療としては、ペニシリン系の抗生物質をしっかり飲んで、うがいを励行し、トローチ等で喉の清潔に努めます。
溶連菌の存在は迅速診断法によって10分程で確かめることもできますし、咽頭培養で、4~5日程菌を培養して判定します。
症状が一段落したところで、一応一回は尿検査をして、血尿や蛋白尿の有無を調べて、溶連菌感染症後の急性腎炎の発症がないかを確認しておくと安心です。
もし万が一、急性腎炎を起こすと、症状としては尿の出が悪くなり、顔や手足がむくみ、激しい頭痛、そして尿の色がかなり赤味を帯びて来るので分かると思います。その時は入院と絶対安静が必要です。
溶連菌はペニシリン系の抗性物質ですぐに喉から消えてしまいますが、治療が不徹底だったり、生活環境の身近に菌がいたりすると再び感染を繰り返すことがあります。
特にアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎のある人は、鼻水をすすって喉に送り込む傾向がありますので、不潔になって喉を腫らしやすく、何度もかかりやすいものです。
食事前によく手を洗い、朝晩うがいをしたり、鼻をよくかんで清潔にし、予防に努めるとよいでしょう。