狂牛病は怖い?

狂牛病は1986年に英国で発見された牛のかかる病気で、牛海綿状脳症(BSE)といいます。
BSEにかかった牛は脳を冒され歩くことも出来なくなりやがて死亡します。
BSEは圧倒的に英国に多く(全世界の98%)、分かっているだけでも18万頭にのぼります。
プリオンという特殊なたんぱく質が病原体といわれています。
羊にもプリオンが原因で、BSEによく似たスクレイビーという脳の病気が200年以上も前からありました。

それまで羊の死体をよく牛のえさにしていたので、「スクレイビーにかかった羊の肉骨粉を食べたために牛にも狂牛病が発生したのだ」という説がありますが定かではありません。
人間にも元々海綿状脳症という病気が古くあり、発見した人の名前をとってクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と呼ばれています。

CJDは50歳すぎに多く起こり、痴呆症となり1年以内に死亡してしまいます。
スクレイビーという羊の病気は200年以上昔から存在し、それよりもずっと以前から人類は羊の肉を食べ続けてきましたが羊の肉を食べてCJDになった人間は今までいませんでした。
牛に関してもはじめは狂牛病にかかった牛の肉を食べても人にはうつらないと英国政府は言っていましたが、非定型的クロイツフェルト・ヤコブ病(nvCJD)はBSEが人に感染したものである可能性がかなり高いという研究発表がなされるようになり、こんにちのような騒ぎになっています。

今ではたとえ健康そうに見える牛でも、その肉骨粉を他の牛のえさにしないようにしています。
ここでnvCJDになる確率を計算してみると、人口5700万の英国でBSEの牛が18万頭もいて、nvCJDで死亡した患者さんが107人なので、日本での牛のBSEの発生が今後仮に100頭近くも出たとしても、人口1億2000万の日本では患者発生は1人ということになります。
そう考えると、今後の報道のあり方や牛肉食べ控えの風潮はいささか大げさで、もう少し冷静になる必要があると思います。

今、国では国内の市場に出す牛については全例、屠殺した牛の脳の一部を取り出して異常なプリオンの有無を2段階にわたって検査しています。
第一段階で疑陽性を拾い出し、第二段階で確定診断をするのです。このような水際阻止作戦がうまくいくといいですね。

年間交通事故死が1万人、タバコの直接・間接の喫煙で年間9万5千人が亡くなっていることと比べるならば、私なら牛肉をこれからも食べ続けますが、あなたならどうしますか?