結核

今年、厚生省は「結核緊急事態宣言」なるものを発表しました。

結核はかつて「国民病」とまで言われた時代がありましたが、生活水準の向上や医学・医療の進歩によって克服されたかのように思われていました。しかし決して「過去の病気」ではありません。

平成5年にはWHO(世界保健機構)も世界各国に対し「非常事態宣言」を発表しており、結核対策の強化を呼びかけていました。

それにもかかわらず、日本においても平成9年度4万2千人の結核患者が発生しており、2千7百人もの人たちが死亡しています。
しかも、ここに来て2年連続して新規患者発生数、罹患率ともに急に増加に転じはじめているのです。
特に薬の効かない「多剤耐性結核の増加」、「学校・医療機関・老人関連施設での集団発生の増加」、そして「高齢者・在日外国人の患者増加」が問題として浮かび上がっています。

結核菌は患者さんの咳・くしゃみで空気中に放り出され、他人の肺の中に入り込み増殖を始めます。この時ツベリクリン反応検査をすると、その部分がとても大きく発赤やしこりを形成します。

しかしたいていの人は免疫の働きで体の中に菌を封じ込め発病しないで済みますが、一部の人は体力・免疫力の低下に伴い発病してしまうことがあるのです。

そうさせないためにツベリクリン反応が強陽性の人達は「抗結核剤の予防内服」をしてもらいます。
もし発病した場合、その症状は風邪と同じ咳や痰が長く続き、微熱が続きます。そのうちに怠さ・寝汗・胸の痛み、さらにひどくなると喀血したりします。喘息気味で咳が長引く場合との区別は難しいのですが、胸のレントゲンやツベリクリン反応、痰の培養・血液検査等で判断します。
心配な方はご相談下さい。